【 イケメン戦国 】宵蛍 - yoibotaru -
第6章 藍白 - aiziro -
信長様の命を助けたとかで安土城にやって来た女。
素性の知れない女に関わる必要も無い、と避けて拒んできたけれど、城を抜け出したその子を連れ戻す役を、信長様はなぜか俺にやらせた。
政宗さんは女好きだし、
三成ははお人好し、
秀吉さんは世話焼きだし、
光秀さんはよく分からないけど、
その子に関わっている回数が少ないからなのか何なのか、あの人の腹はいつになっても読めない。
その子が逃げ出してくれたお陰で情報が漏れてることが露見して、
「はあ、」
どこから漏れたか分からないけど、
逃げ出さないよう見張るためなんて理由をつけて、あの子の情報がこれ以上漏れて狙われないよう俺の御殿に移した。…大きなお荷物を背負い込んだ気分だ。
「…記憶がない、か、」
それがどこまで本当か分からないけど、
安土城から移る時、少ない荷物を不安そうに抱えるあの子を見て、何だか見てられなくなったのも事実だ。身ひとつで生きている、
…まるで昔の俺のようで。
それでも優しくなんてしない。いや、今更出来ない。だから未だに避けて、同じ御殿にいるのに、この数日あの子がどんな風に過ごしてるかすら知らない。報告がないってことは、大人しく部屋で過ごしているのだろう。