【 イケメン戦国 】宵蛍 - yoibotaru -
第4章 青褐 - aokachi -
「ぁ、…家康様!」
まだきちんとお詫びできていない。
そう思って去っていく彼の名前を呼ぶ。
「…何?」
足を止めて、私を振り返る彼の視線は冷たいけれど、構わず深々と頭を下げた。
「あの…いろいろと、本当にすみませんでした。助けて頂いてありがとうございます。…風邪引かないように、どうか気をつけて。」
「…心の底から余計なお世話。」
くるり、踵を返して去っていく家康様の背を眺める。
彼の通った道に雫が垂れているのをみて、これで完全に嫌われただろうと思う。ただでさえ、私のことを拒んでいたのに、こんなに迷惑をかけて。
もう本気で顔を合わせてくれることもないかもしれない。
そう思うと、胸が痛いのは、
罪悪感か、もっと違う感情なのか、分からない。
でも、罪悪感だと決めつけて、震える体を抱えながら私も部屋へと向かった。