【 イケメン戦国 】宵蛍 - yoibotaru -
第14章 薄桜 - usuzakura -
その問いにハッとする。
家康さんには、きっと、私の気持ちはバレバレで、だけど、脳裏によぎったのは萩姫様の言葉だった。
『彼がいいと言っても、周りが反対する。』
私は後ろ盾もなければ、権力も無い。
未来から来た、素性の分からない女。
私の前にうっすら見えた、家康さんとの道には先があるのだろうか。
そんな私の戸惑いがみえたのか。
「…何を気にしてるの。」
「…ッ、」
「もしかして、萩姫のこと?自分が嘘ついてたこと?」
「えっ、と、」
「あいつに何を言われたかだいたい想像は付く。でも、気にする事じゃない。それに、俺が気にしないって言ってるんだ。」
それだけじゃだめなの。
そういう家康さんにもう何も言えなかった。
未来があるかは分からない。
だって私がここにいるのがまず奇跡に近いから。
この先があるかなんて私には、
分からない。
もしかしたら、すごく後悔することがあるかもしれないけど、
差し出された、
好きな人の手をつかまずにはいられなかった。
「…私で、いいんですか、」
「うん。」
「後ろ盾も何もない未来から来たって言う女ですよ?」
「関係ないよ。」
「………私も、す、きですっ、」
声に出したら、
想いが加速しそうで怖かった。
でも、彼が大丈夫というならきっと大丈夫。
近づく顔に目をつむると、ふわり、唇が重なって、胸の奥が苦しいくらい愛おしい気持ちであふれた。
「帰ろう。風邪ぶりかえすといけないし、」
「はい。」
来たときとは違いしっかり繋がれた手のひらに、
確かな、
幸せ
を感じた。