第6章 Cancer
「ところで陽葵ちゃん?
モデルの代役の経緯は分かった
が、さっきの"あれ"はどう言うことですかぁ?」
控え室を出て鉄朗に手を引かれ
静かな波打ち際まで来た
不機嫌なオーラを放ちながら尋ねてきた
『あ、あれってなになんのこと?』
「ふーん
じゃあ思い出させてやるよ」
『キャッ!』
ヒョイッと抱き上げられ
慌てて鉄朗の首に手を回した
「さっき黄瀬って野郎に
抱き上げられてただろう?」
『う、うん』
「そんな露出の激しい格好で
抱かれるってなに考えてんだよ!」
『露出って・・・・
この水着鉄朗が選んだんでしょ?』
「良く似合ってる♪ってそうじゃねぇ!
兎に角っそんな格好で抱きついた挙げ句の
アレはどう言うことですかぁ~?」
だからアレってなんなの??
「ま~だわかんねぇの?
じゃあ再現してやるよ」
笑みを浮かべた鉄朗の
唇が私の頬に触れた
『ななななにして!?』
「どうしたぁ~顔が真っ赤ぞ?」
『だ、だって鉄朗がっ!!』
「お前同じベッドで寝るのは平気なのに
ほっぺにチューで照れるのか?
それじゃぁ口にキスしたら
どうなるんだろうなぁ?」
ボボボッとさらに赤くなっていく顔
思わず鉄朗の口を手で塞ぐと
ペロッと手のひらを舐められた
『ヒャッ!?』
パッと手を顔から離すと
解放された鉄朗がゆっくりと近づいてくる
「ヘイヘイヘーイ!」
「『!!?』」
「俺も交ぜろーっ!!」
「うおっ!!」
『っん!!』
突然現れた木兎のタックルに足を滑らせ
バシャーンッと大きな水しぶきをあげ
海の中へと3人でダイブした
「ブハァッ!
木兎テメエなにしやがる!!」
「黒尾が抜け駆けしてんのが悪い!」
「んっ?陽葵どうした?」
喚く木兎を無視して
口を押さえて固まっている
私に声をかけてきた
『さ、さっき・・・・ききき』
「棚ぼた2回目だなぁ
ごちそうさん♪」
初めてのキスは海の味がしました・・・・・・・・