第10章 つまりはそう、キミのせい ~赤司~
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"どんな彼女でも好きだ"
好きだ、好きだ。
「あ、その、」
『なん、何で、え、』
鈴木に対し捲し立てられた言葉の中に見つけた"好き"という言葉。頬に寄せられた柔らかい感触。
改めて目が合えば、普段と違う必死な表情と赤い顔。何か返そうにも何で、という言葉を繰り返す位しか出来ない。
「先輩あなたが好きだ、中学の時から。素直になれなくて酷い態度をとったしそのせいで迷惑を掛けたのも知ってる。それでも、あなたが欲しいんだ」
思い返す中学時代。嫌みを言われて凄く腹が立ったしこれだけストイックに邁進する人物に毛嫌いされているのはやはりツラいものがあった。
仏頂面の過去の彼と胡散臭い笑顔で接して来ていた今の彼。
こんな、こんな切なそうな表情で想いをストレートにぶつけてくる赤司も、そのせいで早鐘を打つ自分の心臓も知らない。もうキャパオーバーです…!!
『あああぁぁぁ、もう黙れぇぇぇぇ!!』
腰に回したままだった手をべりっと剥がし逃げようとするがアッサリ捕獲された。
「残念、逃がさないよ」
『~~~!!』
イタズラっ子のように耳元で囁く赤司。
ヤバい、赤司の事好きになりそうだ。
いやいやこれは赤司が可愛くて格好いいのが悪い 。
だからそう、好きになってもしょうがないのだきっと。
近い将来並んで歩く事になりそうだ。
そんな未来予想図が浮かんだ、高校2年の春だった。
(アラ、ったら真っ赤)
(やっとだな、赤司良かったねー!!)
(やっぱアイツ頭良いのに馬鹿だよな)
fin
→あとがき