第9章 俺達帝光男バス部!!~キセキ+黒+虹~
「いやっ決して盗み聞きするつもりは無くって……!!?」
「そうッス、先輩のあられもない声とか聞いたりしてないッスから!!………?」
「……あ~らら、勘違いってヤツ~?」
バランスを立て直して必死に言い募る聞き耳集団が見たものは、額に手を当て顔をしかめる緑間、アヒル口を歪め青筋立てる虹村主将、綺麗に綺麗に微笑む赤司、そして目を見開いて驚いた表情のの姿だった。
の手には針と糸。虹村主将はユニフォーム姿でゼッケンが半分剥がれかけ。
勿論着衣を乱れさせた者などいよう筈が無い。
ーつまりはそう言うコトだった。
「……おい、お前ら……?」
決して大きな声ではないのに、地の底から響いて来るようなドスの利いた虹村の声が更衣室を支配した。
「黒子。ミスディレクションで逃げようったってそうはいかないよ?」
赤司の声にビクッと肩を揺らし観念したように室内に向き直る黒子。何故バレたんでしょう、そう顔に書いてあった。
『へーぇ、君ら部活前だって言うのに本当に元気ねぇ……?』
だが、主将副将より更に怒りを孕んだ声に、今度こそ聞き耳集団の身が凍る。
は自他共に認めるバスケバカなマネージャーだ。虹村主将と同じクラスであり良く話をしている姿がみられる事から付き合っているのでは、という噂が当然流れたが話の内容は九分九厘部活の事。
美人でもあり告白も後を立たないが"バスケより魅力的になってから出直して来い"で全てバッサリである。
そんな彼女をつかまえて事もあろうに下ネタ的な勘違い。
『お前ら着替えて外周50逝ってこい。終わったら筋トレ5セット50mダッシュ30本、な?』
途中で水分補給するのだけは許してやるよ。
にっこり花が咲いたような笑顔でそんな死刑宣告が下された、ある日のお話だった。
ちなみに緑間はラッキーアイテムが糸通しであり、なおかつ結果的に馬鹿共の妄想を強制終了させた事から地獄メニューは免除された。
おは朝パネェ、誰もがそう思ったのだったー。
→あとがき