第6章 赤の王様 ~赤司征十郎~
『言っとくけど当然それに不純な意味合いを盛り込んだ覚えは無いよ!?』
むしろさっきの抱擁こそが本来の意味だろ。
「済まない、負けたショックでの言っている事が良く分からないんだ」
グイグイ押すもびくともしない幼馴染み。まさかさっき手が震えてたの、演技か…?あり得る。だってスッゴい笑ってやがるもんこの状況で。
「それと、」
『ん?』
「"むしろ負ければ?負けないで成長しない神様より、負けて成長する人間になるチャンスだよ"って言ってたの覚えているか?」
『月並みに、うん、言ったね』
だってマジでこの厨二早い段階で負けておくべきだろって思ったからね。若いウチの苦労は買ってでもしろというし。
「言われた時は僕が負けるなんてあり得ない、バカだなって思っていたけどね」
『ちょいちょい喧嘩売ってるよね』
「…テツヤに負けて、少しその意味が分かった気がしたんだ。今までそんな前向きな意味で僕に負けろなんて言う人居なかったからね、」
だから僕のものにしておきたくなったんだ。が自分から抱き着いて来てくれた事だしね。
そう続けた幼馴染み。負けても征十郎は征十郎だった。転んでも只では起きない。
『……取り敢えずシャワー浴びて良いかな』
「一緒に『却下』…ふふ、今回は我慢しようか」
なんだかんだ言って私はこの幼馴染みに甘いのだ。
手を緩めた征十郎のネクタイをピッと引っ張る。少しつんのめった端正な顔にバードキスを送り、そのままするりとバスルームへ逃げ込んだ。
新しい景色を見る幼馴染みと新しい関係へ。それも悪くないと思う程度には、私はこの王様に溺れているという事だろう。
fin
おまけ
(さん大丈夫でしょうかね…)
(あ?赤司じゃなくてか?)
(ブツブツとそうさこれは負けじゃないを抱けるチャンスじゃないか試合には負けたが勝負に勝ったというヤツだな、とか呟いていたので)
(オマエの元チームメイト怖ぇーよ!!)
(まさかペロリと戴かれるかも、なんて忠告しにくいですしね)
(ま、そこに愛があれば良いんじゃねーの)
(……火神くん気持ち悪いです)
(あ"あ"!?)
あとがき→