第6章 赤の王様 ~赤司征十郎~
「誰の許可を得てソイツに触っている。………頭が高いぞ」
アッ、コイツアカン。
久し振りに会った幼馴染みに抱いた感想はその一言に尽きる。
苦虫を噛み潰したような顔、とは正に今の私の表情を正確に表現していると思う。
『ちょっと征十郎くんや、私が居ない間に厨二病悪化してないかい』
「ふふ、何を言うんだい。お前に穢れた手で触れたコイツが悪い。そうだろう?」
いやまぁ、正直征十郎の姿を見つけた時はやれやれ助かった、とは思ったけどさぁ。
腕を組んで仁王立ちした高校生に転ばされ(触れずとも転ばす事ができるらしい。なにソレ怖い)、冒頭の台詞を無駄に良い声で放たれた哀れな男性をチラリと見遣る。真っ青、ガクブル、Oh My God!てなもんである。
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長いフライトを経て懐かしい母国の土を踏み固まった首をごきりと鳴らす。
さて荷物を受取りに行くかと歩を進めていると、同じ飛行機に乗っていたらしい金髪碧眼の男性に声を掛けられた。
所謂ナンパというヤツだ。オイオイ飛行機降りたばっかで元気だなお前、こっちはこれから色んな意味で疲れる相手と会うんだよお前に構ってる暇ねぇよ。
そんな心境を出来るだけオブラートに包みお伝えした訳だが、私の英語力に問題があったのか日本人特有の曖昧さに焦れたのか、彼は事もあろうに私の腰を引き寄せてきおった。
流石にコレ殴っても良いんじゃね?と思った所、視界に入った綺麗な赤色。