第3章 たった一つ ~キセキ+黒+桃~
『えっ、黒子君と緑間君って同じ子が好きなの!?さつきちゃーん、凄いネタ仕入れたよ!!』
そう言って台所に籠っているさつきの元へと走る。
「あー、ちゃん、まだ入っちゃダメだよー!?」
『それが、大変なんだよ!!』
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きゃいきゃい言いながら立ち入り禁止区間へ突入する。
一瞬開いたドアから形容し難い香りが漂ってくるが、皆気が付かない振りをした。
なんせさつきから、"料理の試食会に参加してくれたらちゃんのレアショット写真プレゼント!"というメールを受け取り、各自意を決してこの場に赴いているからである。
あわよくば、自分以外が全員倒れれば写真総取りも可能かも知れないという野望を持っている以上、これは譲れない戦いなのである。
「あの鈍さどうにかなりませんか赤司君」
「無理だ、何せ僕の予想すら越えるからね」
「ちんは本当に面白いよね~」
「見ていて飽きないのだよ」
「ま、あういうヤツなら側に置いとくのもアリだよな」
「青峰っち素直じゃないッスねー」
「誰にも渡さないですけどね」
「誰にも渡さないッス!」
「誰にも渡さないのだよ」
「誰にも渡さねーよ」
「誰にも渡さねーし」
「誰にも渡さないよ」
彼女の恋人の座を射止める闘いは、まだ終わりそうにないーー。
fin
→あとがき