第20章 既に貴方に夢中です ~高尾和成~
高校生になってすぐ、不思議な夢を見るようになった。
全く知らない男の子が出てくる夢。
大きな犬に襲いかかられそうになっている所を助けたのが最初だった。
『何で夢だからって知らない子に危害加えようとしてんのよ私ぃぃぃ…!!』
夢だと言う自覚があったからそう言って頭を抱えた私だったけど、和くんもこれは自分の夢だと言って来たからイロイロな意味で驚いた。
ひとつ目はお互いに自分の夢だと確信している所。
もうひとつは彼のコミュニケーション能力の高さ。
こう言ったら悪いけど、パジャマ姿の彼は弱々しくて、パッと見には庇護すべき対象にしか見えなかった。
そんな彼が口を開けば年上にも物怖じせず話し、更には切り替えも早い。
その見た目とのギャップに内心で舌を巻いた。
自分の夢だと言い合う中で、すっと引いて見せた彼はなんと言うかとても大人に思えた。
そして私の事をサン、とからかうような声色で呼んで見せるその様子も、とてもじゃ無いけど小学生には見えなかった。
ひ弱そうな外見にそぐわない強い意志を秘めた猛禽類のような眼が印象的で、わざとおちゃらけて年上の女性を演じてみたが、余裕あるように見せれただろうか。
きっと大きくなるにつれモテる子になっていくんだろうな、というのが正直な感想だった。
スポーツは特にしていないと言う彼に、高校でまたバスケを始めたと言う黒子くんの言葉を思い出して勧めてみた。
"これでもバスケ始めて背が伸びたんです。周りに身長カンストしてるようなのがゴロゴロ居ただけです"
火神くんに身長の事を言われそう返していたから、バスケをしていると背が伸びやすいんじゃあないかな、と軽い気持ちでそう言ってみたに過ぎなかった。
夢だしもう会うことも無いだろうし、と。
ーだから次の日また彼が夢に出たのには驚いた。