第18章 ラブコール量産法 ~花宮真~
「ねぇアンタ、花宮君の事どう思ってるのよ!?」
ああ、またか。
電話口から聞こえてくる不機嫌そうな女性の声に、やっぱり出るんじゃ無かったとゲンナリした。
さらば趣味の時間を楽しむハズの週末よ。
「っ、私の方が花宮君の事好きなのにっ!!気持ちに応えないんならさっさと『あの、』そう言って彼を解放してよっ!!そもそも『あの、ですね』…何よさっきから!」
きいぃぃっとでも効果音が付きそうな金切り声を挙げる恋する乙女という名の迷惑人。
『盛り上がり中大変申し訳ないですが、花宮真の想い人であるに電話したつもりであれば、人違いです』
「…は?」
『ですから、笑顔が可愛くて守ってあげたいような子なのに芯は強い健気なさんの事をお探しなら、同姓同名の別人です、と申し上げてます』
「え、ちょ、だって」
この狼狽ぶりはきっと勝手に真の携帯見たパターンだなと当たりを付ける。
『だっても何も、本人から聞いた事ですから。因みに私はただの幼馴染みです。笑顔は公害、不審者返り討ち、我が強い、可愛げナシの方のです』
何せこの手の電話や呼び出しは中学の頃はザラだった。勿論真と同じ中学だったからに他ならない。
1個上の先輩は真っ黒眼鏡妖怪サトリ、同級生にはゲスの極みのオタマロ眉毛と、私の中学生活は散々だった。
初対面で真のゲスを見破ってしまった当時の私(幼稚園児)が悪いと言えばそれまでなのだが。
思うところもあり高校は別にした。
「高校でもお前と一緒とか反吐が出そうだな」
『こっちの台詞だバカ宮。安心しなよ、京都の洛山受かったからお望み通り離れ離れだよ』
「…は?」
『因みに今日これから出発。じゃあね~』
あん時の花宮の顔は傑作だった。霧崎第一も受けて周りにもギリギリまで黙ってて貰ってやっと実現させたからね。
固まってる花宮を置き去りに新天地に来た私、本当に良くやった…!!
因みにその後しばらく続いた鬼電は無視、最終的に着拒にするぞの一声で何とか回避した。