第16章 さぁ、幸せな結末を ~洛山+誠凛~
ね?じゃないですよ白々しいですね。肩を借りる位フラフラの癖に何でワザワザ戻って来てるんですか。
『ちぇー、ケチだなぁ。まぁ良いや、赤司に黒子、後で皆で集まろうね!』
他の男に触られたくないと言う赤司くんの嫉妬心丸出しの行動に気が付いた様子もなく、ヒラヒラ手を振ってコートの外へと向かう彼女。
「…何か言いたそうだね、テツヤ?」
「いえ、あいかわらず色々スルーされてるみたいですね、って位ですけど」
「…さっきは少し照れていただろう?」
「あれだけ抱き締めて少し、ですけどね」
「ふん、敗けを経験したからにはもう死角は無い。なんといっても"俺"と"僕"2人分の気持ちがあるんだ。は髪の毛1本だって渡す気はないよ」
赤司くんの言葉に弾かれたように顔を見れば、この上なく好戦的な表情をしていた。
さっき優希さんが赤司くんに言っていた、オマエだって必要だ、と言うあの言葉。
ーああ、赤司くんは自分にすら"勝った"んですね。
やれやれ、本当に厄介な相手です。
只でさえ京都と東京で遠距離だと言うのに。
「僕だって、譲りませんよ」
それでも諦める気なんて毛頭ない。
そう言ってもう一度拳を差し出せば、赤司くんはフッと笑って拳を合わせて来た。
「それでこそテツヤだ。ーお前に、お前たちに出会えた事を本当に、本当にありがたいと思っているよ」
「それは僕もですよ」
そもそも赤司くんが居なければここに僕は居ない。
色々あったけれど、それでも赤司くんには感謝しているのだ。
そうして2人でまた笑って、今度こそ整列するために歩を進めたのだった。
fin
→あとがき