第15章 僕達洛山高校男バス部!! ~洛山~
『え?赤司じゃん。…もしかして聞いて無いの?』
赤司のポカーンとした顔はレアだ。この先拝めないかもしれないので写メっておこう。
「「「ええええぇぇぇぇ!!??」」」
にしても3人の声の、煩い事と言ったら。
キャーやったじゃないの征ちゃん!
そうなの!?そうなのー!!?
スゲー婚約者とか実際あるんだなー!
乙女のようにはしゃぐ実渕、フラれた事実よりも大きい衝撃に揺れる葉山、絶対自分には無縁な言葉に感心する根武谷。
『赤司?どーした?…もしかして婚約者なんか冗談じゃねーよ的な?赤司が相手って聞いて嬉しかったけど嫌なら、ってうわぁ!?』
反応が無い赤司の顔を覗き込みながら困り眉で言葉を紡ぐだが、最後まで言うことは叶わなかった。
赤司が抱き締めたからである。いつも一緒に居ると言っても過剰なスキンシップは初めてだったようで、は真っ赤だ。
「僕は、お前にこうやって触れて良いんだ、な?」
『ふぇっ!?…あ、えっと、うん…?』
「取り敢えず父さんにどういう事か聞くけど…、、これからは覚悟しておけよ?」
『えええぇぇ…』
さすがにここまでされて赤司の好意に気が付かないほど馬鹿では無いだろう。真っ赤な顔のまま頷くと、自信に満ち溢れた様子の赤司。
例えて言うなら鬼に金棒、弁慶に薙刀。あるいは竜が翼を得たが如し。…つまり最強。
焦らされて焦らされて月日を重ねた赤司だ、暴走するなと言うのが無理だろう。…生きろ、そなたは美しい、ってヤツかな。
おっとヤバいそろそろ逃げないと。
「小太郎と永吉は外周50追加、玲央は外周30だ。ああ、黛さんはさっきの写メ消して下さいね、外周20だけで良いですから」
それからは部室に来い、そう言って鬼な発言を締めくくった赤司。
間に合わなかった…だと!?バカなミスディレクションさえあっさり看破するとか赤司どんだけ。
お前部室に連れていって何する気だよってやっぱいいわ聞かないでおく。
取り敢えずため息を1つ吐く。
まだギャーギャー騒ぐ2年3人を一瞥し、次に2人の話題が出たら呑気に脳内で解説垂れてないで直ぐに逃げようと心に決めたのだった。
そうして俺、黛千尋は良く晴れた空の下に駆け出した。
fin
→あとがき