第2章 キミはヒーロー ~木吉鉄平~
『この歌ってさ、鉄平の事歌ってるみたいだよねえ』
急にこんな事を言い出したのは、幼馴染みにして俺の彼女でもあるだ。
-----------------------------------
霧崎第一との因縁の試合を制しWCへの切符を手に入れた翌日。
今日は学校も部活も休みのため、部活にかまけてずっとほったらかしにしてしまっているを久々にデートに誘った。
『鉄平、昨日の疲れあるでしょ!今日は家でのんびりしようよ』
しかし、どこへ行こうか、という俺の提案にそう返した彼女。
正直体が悲鳴を挙げていたのもあり、申し訳ないながらも俺の家の炬燵でノンビリ蜜柑を頬張っている現状である。
TVが付いていたがボンヤリと炬燵の温もりと蜜柑を貪っていた俺は、彼女が聞いていた歌が何なのか見逃してしまった。
画面に目を向ければホット炭酸発売開始!!というCMが流れている。このCMソングでは、無いよな?
何のことか聞こうと口を開いた所でストーブの上でヤカンがシュンシュンと音を立てて存在を主張した。
それと同時に年期ものの壁時計が丁度お昼になった事を告げる鐘を鳴らす。