第12章 願う幸せ
「だからユナ、お前には健康でいてほしい・・・マヤの分も幸せになってほしい。本当のご両親の分も生きてほしいと思っているよ。」
優しくクライスは微笑む。
『!・・・ありがとうございます。そんなに思っていただいて、嬉しいです。私こそ、両親と過ごせなかった時間を、今お父さん、お母さんと楽しく暮らせて本当に感謝しています。』
ユナもクライスに笑顔で返す。
「ははっ。ユナは本当に素直な子だね。・・・勉強はつらくないかい?あまり頑張らなくていいんだよ?」
『・・・お父さん、娘に甘過ぎですよ!』
クライスとユナは楽しい待ち時間を過ごしていた。
診察は時間をかけて行った。
色々な検査をしたが、私の体の状態の総合結果は数ヶ月かかるとのことだ。
医師は、完治はしないが症状を最小限にしていけることを断言してくれた。
薬や食生活でも、改善がみられるとのアドバイスもあり、すぐに実行していく。
すると、今年の冬は高い熱は出たものの、倒れたり動けなくなることはなかった。
(・・・タイラー家のお父さんやお母さんに迷惑をかけるんじゃないかと思ってたけど、良かった)
ユナはホッとしたと同時に、リヴァイのことを想う。
いつも自分を看病して、守ってくれていたリヴァイ。
思い出すと胸が張り裂けそうな程、切なくなるのだった。
タイラー家に来て、もうすぐ1年が経とうとしていた。
地下街の家族と過ごした日々は、ユナの宝物なのだ。
だからこそ願う。
「彼」の幸せを。