第11章 離れる心
夜になって、ファーランは戻った。
リヴァイとユナは、昼間の情事からいつもの「兄妹」へと戻っていた。
「それで・・・何か分かったか。」
リヴァイはファーランの神妙な顔付きを見て、何かしらの情報を得たであろうことを悟っていた。
「あぁ、それが・・・。」
チラッとユナを見るファーラン。
「ユナ、少し席を外せ。」
リヴァイが言う。
『どうして?私のことなんでしょ?なら、私には聞く権利があると思う。』
ユナはもちろん納得がいかない。
そんな2人のやり取りを見ていたファーランは、
「いや・・・、悪い話でもない、とは思うんだ。」
と歯切れ悪く話始める。
ファーランの話では、地上の商人達が地下街に来訪した日、ユナを見かけた商人がいたという。
その商人の友人が、半年程前に事故で娘を亡くしてしまったのだが、その娘とユナがとても似ていた。
商人は、その友人に地下街によく似た娘がいたことを話すと「一目見たい」と言うので会わせたかったらしい。
ユナについて聞き込みをして集めた情報を話すと、是非とも養女にしたいということになり、地下街の者に捜索を依頼した。
「無傷で」連れて来る、というのは「丁重に」ということだっだ。
つまりは、ユナは地上の商人の(知人の)養女になる、という話になっているという。
『・・・そうか、だからあの日、私をじーっと見ている人がいるなぁって思ったのは、そういうことだったんだ。』
合点がいった様子のユナだが、
「その話、信憑性はあるのか。」
リヴァイは真剣な表情でファーランに問う。
「間違いない。ちゃんと有名な権力のある商人だし、ユナの捜索を依頼された奴ら数人からも聞いた。もし、会ってみたかったら連絡くれってさ。」
ファーランは折り畳んだ紙切れをリヴァイに渡す。
「・・・。」
何も言わずに受け取るリヴァイ。
『ちょっと待ってよ。これって、私の問題でしょ?私は養女になりたいなんて思ってないよ。だから会わなくていいし、連絡先とかいらないよ。』
ユナはリヴァイに言う。
しかし、リヴァイは黙って何かを考え込み、
「この件は、俺が一旦預かる。お前は黙ってろ。」
と言って、部屋に戻ってしまった。