第9章 想いの方向
ユナside
私は暗闇にいる。
(寒い・・・寒くて、寂しい)
(・・・悲しい・・・怖い)
そう不安になっていると、体があたたかいものに包まれる。
(あったかい・・・優しい・・・)
その感覚が優しくて、涙が出る。
いつまでも、こうしていたい・・・。
私は暗闇から抜け出して、優しい感触に包まれる。
気がつくと、私は自分のベッドにいた。
ベッドの端には、椅子に座って眠っているリヴァイの姿があった。
リヴァイは、私の手をぎゅっと、しっかり握りしめていた。
それを見た私は、リヴァイの手をきゅっと握り返した。
「!」
リヴァイはバッと体を起こし、私を見た。
「気がついたか、ユナ!」
私が頷くと、安堵したようだった。
「少し水を飲め。全然水分をとっていないぞ。」
と、私に水差しを近づける。
その後も、おでこのタオルを冷やしてくれたりと、リヴァイは動いてくれた。
どうやら私は、危険な状態で倒れていたのをリヴァイに見つけてもらったようで、丸2日も目を覚まさなかったらしい。
『本当に、心配かけてごめんなさい。』
ベッドに起きれるようになった私は、リヴァイに言った。
「・・・本当にな。」
『・・・怒ってる?』
「いや・・・。」
『嘘、怒ってるじゃん!』
「本当だ。怒ってねぇ。ただ、死ぬ程心配した・・・」
リヴァイは俯いて、顔を両手で覆う。
『・・・ごめんね、リヴァイ。でも、また私を見つけてくれて、助けてくれて、ありがとう。』
「あぁ、俺が何度でもお前を見つけてやるさ。」
そう言って、私はリヴァイに引き寄せられて、優しく抱きしめられた。
(あったかい・・・リヴァイの体温・・・)
私は、ゆっくりと手をリヴァイの背中に回した。
しばらくそうしていると、
「・・・まだ休め。無理すると長引くぞ。」
と体を私から引き離した。
また体をベッドに横にして、私はリヴァイのぬくもりを名残惜しく感じていた。
『まだ、ここにいてね。』
ちょっとだけ甘えて言ってみる。
「・・・あぁ、お前が眠るまで一緒にいる。」
と、私の手を握ってくれるリヴァイ。
私は安心して、まぶたを閉じることができた。