第9章 想いの方向
リヴァイとユナが市場調査から戻り、ユナはさっそく近所の子供達にお土産を配りに出掛けた。
リヴァイは、その間に調査結果をまとめる。
依頼主に渡し、報酬を得る段取りをする。
(・・・確かに、市場には妙な気配をちらほら感じた。きっと、裏で暗躍している奴らだろう)
今の自分達には直接の関係はないが、今後の展開次第では何か影響があるかもしれないため、少し気に留めておくことにしたリヴァイだった。
一方で、子供達の所に行っていたユナは、帰ろうとしているとファーランが壁に寄りかかってこちらを見ていることに気がついた。
『ファーラン!どうしたの?』
駆け寄るユナに、ファーランは笑って、
「いや、そろそろ帰って来る頃かなと思ってさ。」
と言ってユナの頭に手を置く。
『待っててくれたの?ありがと。』
ユナもにこっと笑みを向ける。
「・・・っ!いや、リヴァイにもユナを見て来いって言われたんだよ」
ファーランは、赤くなった頬をポリポリ掻きながらユナから視線を反らす。
その夜、調査結果を報酬に変えたリヴァイが戻って来た。
ファーランは、テーブルに腰掛けて仕事依頼の書類に目を通していた。
ソファーには、ユナが身体を丸く小さくして眠っているようだった。
「リヴァイ、おかえり。どうだった?あちらさんの満足のいく感じだったのかい?」
ファーランは調査結果と報酬について聞いていた。
「まぁな、あとはその情報をどう使うかは本人達次第だろ。」
と、リヴァイは言いながらソファーに眠るユナを見た。
「ちょっと遠出したからな。疲れたか・・・。」
(このまま風邪でも引かれたら厄介だな)
リヴァイがそう考えていると、
「毛布でも掛けてやった方がいいかな?」
と、ファーランが動こうとした。
「いや、ここじゃ風邪を引く。俺が寝床まで運ぶ。」
リヴァイはソファーに近づき、眠っているユナをそっと横抱きにして、ユナの部屋に向かう。
「・・・本当に過保護だよ、リヴァイ。」
ファーランは、ため息をついて、苦笑いでその光景を見ていた。