第5章 出会い
あれから泣き疲れて眠ってしまった私は、翌朝早くに自分の部屋のベッドで目を覚ました。
どうやらケニーが私を運んでくれたみたいだ。
(なんか・・・まぶたが重い感じがする)
鏡を見ると、案の定、目が腫れていた。
(いっぱい泣いたから・・・)
考えると、また涙で目の前がぼやける。
『だめ、だめ。しっかりしなきゃ。ケニーも言ってたし!』
私は鏡の中の自分に言い聞かせるように声を出し、両頬を軽くパチンと叩いた。
『よし!顔を洗って来よう!』
そう気合いを入れて部屋を出た。
洗面所でバシャバシャと冷たい水で顔を洗う。
(ひんやりして気持ちいい・・・)
でも鏡を見れば、まぶたは腫れて目も真っ赤だ。
『泣いてばかりいたら、父さんと母さんが心配しちゃう・・・。』
私は目を閉じて、父さんと母さんの笑っている顔を思い浮かべた。
そして、目を開けて鏡に映る自分に笑いかけた。
(頑張って・・・!)