第18章 初めての経験
リヴァイ side
「ユナは本当にすごい子だよ。多少は緊張していたようだけど、いざ作戦になっても落ち着いていた。作戦が失敗となり巨人の討伐に移っても、次々と仲間を助けながら信じられない動きをしていたよ。・・・そうリヴァイ、君みたいな、それでいて軽やかにね。」
ハンジは思い出すように言った。
「俺、みたいか・・・。」
(まぁ、軽やかなのは力が足りないせいだな・・・ユナはスピードやバネはあるが、力が足りないせいで軽いんだ・・・もっと食べて筋力が必要だな)
そんなことを考えていると、エルヴィンが俺達を見つけてやって来た。
「ご苦労だったな。リヴァイ、ユナの様子はどうだ?」
「・・・あぁ、左肩を負傷しているが大事には至ってない。」
「そうか、それは良かった。彼女の戦績は、今後の調査兵団で大きな戦力となる。失う訳にはいかない人材だからな。」
「エルヴィン・・・。お前、」
「そうなんだよ、エルヴィン!ユナの実力は本物だよ!我が班に来てくれて、本当に良かったよ~!これで今後も巨人の捕獲についても、より深く語り合えそうだよ!!」
ハンジは嬉々としている。
「それについてだが、ハンジ。今後の巨人の捕獲は捕獲装置の改良後に、実際に隊員達と訓練を交えて成果を上層部に提示してから検討されることになる。すぐにとはいかない。」
エルヴィンはハンジに釘を刺す。
「そう・・・まぁ、今回の結果を考えれば当然だよね。了解したよ、エルヴィン。」
俺は、エルヴィンのユナを「戦力」と言ったことに小さな引っ掛かりを覚えた。
確かに俺達は兵士だ。
兵団の団長であるエルヴィンが俺達兵士を駒として動かすことは普通のことだ。
だが俺は、ユナを「兵士」にしたいとは実際のところ微塵も思っていない。
俺はエルヴィンに命令されれば、どんな任務も遂行する。
他の誰も出来ない危険なことも、俺なら出来るだろう。
しかしユナとエルヴィン、どちらを守るかとなると俺の中ではすでに答えは出ているものの、実行するにはどちらかを見捨てなければならない。
それが兵団の意志と俺の意志、相反することだとしても。
「・・・・・・。」
(エルヴィンにとっては、ユナも駒・・・か)
俺は残務処理を終わらせ、医務室へ向かった。