第16章 探し物
ユナは正直な自分のお腹をおさえて、体を小さくする。
『・・・だ、だって、夜ご飯食べてないんだもん。』
そんなユナを見て、リヴァイは優しく微笑む。
(本当に、こいつには敵わねぇな・・・)
「・・・俺の部屋に来い。何か食わしてやる。」
リヴァイはユナの手を握りしめ、部屋へと向かう。
リヴァイは紅茶を入れてくれた。
『・・・いい香り。なんか懐かしい。』
そう言って、カップを両手で持ち口元へ運ぶ。
『おいしい・・・。あったかくて、嬉しい。』
にこにこと紅茶を楽しむユナ。
「これはエルヴィンにもらった。こっちはハンジだ。どこぞの高級菓子と、これは・・・・・・とにかく好きなものを食えばいい。」
リヴァイはユナの前にクッキーやカップケーキやパイを並べる。
『わぁ!すごい、おいしそう・・・。』
ユナは目を輝かせる。
「俺が紅茶を飲むのを知って、あいつらが時々よこすんだ。俺はあまり食わないがな。」
『高級か・・・。リヴァイは「兵長」だもんね。偉い人だしね。』
「何が偉い人なもんか。巨人の前では俺達はみんな同じ、ただの人間だ。」
リヴァイはユナにカップケーキを差し出す。
『?・・・。』パクッ
ユナは差し出されたカップケーキを一口食べる。
「・・・。」パク、
リヴァイはユナの食べたカップケーキを自分の口に運ぶ。
「・・・お前と食うのは悪くない。」
そう言って、フッと笑う。
『おいしいね。・・・昔、紅茶を飲みながら、私の作ったパンケーキを食べたよね。』
「あぁ、あれはうまかった。」
『本当?』
「あぁ。俺はお前の作ったものなら、たいていうまいと思っている。」
『・・・そうなんだ。』
ユナは単純に嬉しかった。
『リヴァイと会えてから、嬉しいことだらけだ・・・。』
紅茶のカップを握りしめて、ユナは顔がほころぶ。
カップケーキを食べて紅茶を飲んだ後、体があたたまったユナはウトウトしていた。
「・・・ユナ。」
『ん・・・、』
「・・・今日はここにいろ。」
リヴァイはまどろむユナを横抱きにして、ベッドに運ぶ。
そうしてリヴァイは、眠るユナを優しく抱きしめた。