第3章 父さんとケニー
『父さん、今日これからケニーが来るの?』
私は父さんから久しぶりのお客さん、ケニーが来る話を聞きつつ、夕飯の片付けをしていた。
父さんは楽しみな様子で、
「そうだよ。今日は久しぶりだからね。今夜は酒を飲みながらワイワイするよ。お前はベッドに入って早く休むんだよ?」
と言って、私が片付けたテーブルにお酒とグラスを二人分用意している。
『え~!私もケニーとお話したいのに~!父さんだけ狡いよぉ。』
私は食器を洗う手の動きをそのままに、頬を膨らませて父さんにジッと視線を向けて訴える。
そこに、
「子供はお寝んねの時間だろ?」
というセリフと共に、ケニーが現れた。
『ケニー!!』
ちょうど洗い物を終えた私は、手を拭いてケニーに駆け寄り、抱きついた。
『本当に久しぶり!』
「おう、お前も、しばらく見ないうちにデッカくなったな。歳はいくつになったんだ?」
ケニーは私の頭をゴツゴツした大きな手でポンポンと触れる。
『ケニーがなかなか会いに来ない間に、私10歳になったんだよ。』
どう?っとばかりに手を腰に当てて、私はケニーを見上げる。
「はっはっは!そりゃあ、スゲーなぁ。・・・だが、ガキはとっととベッドでイイ夢でも見てな。また明日だな。」
と少し目を細めたケニーは私を見て言う。
『明日?明日もいるの??』
それまでケニーと私のやりとりを眺めていた父さんが、
「あぁ、今夜は泊まっていくことになっているんだよ。」
と説明してくれた。
「だからユナは今日はもうお休み。明日ケニーに相手をしてもらいなさい。」
父さんからそう言われた私は、
『じゃあ、ケニー!明日ね。飲み過ぎちゃダメだからね!父さんもね。おやすみなさい♪』
父さんとケニーに釘を刺しつつ、自分の部屋へ向かった。