第1章 1
そんなの、「いやだな」って思うんだ。
「合わないだろうな」ってあきらめちゃうの、ボクらしくないしさ。
「好きだな」って思ったから、がんばりたいんだ。
好きだから、何もせずにいられない。いろいろ試してみたいんだ。
今は何も共通点がなくたって、何かしてたら見つかるかもしれない。ひょっとしたら、いっしょに新しい共通点作ったりできるかもしれないじゃん。
もしもそれでも何も見つからないとしたって、それでも好きだって言えるようになるかもしれない。
好きだーっていうこの気もちが、わりといろいろなんとかしてくれるかもしれないし、そうだったらいいなって思うんだ。
どういうことかっていうと、つまり晴ちゃんと話したい。
いろいろ調べたりとか聞いたりとか、ボクのガラじゃなかった。
そんなこと考えてたら、サエさんはにっと笑って
「行っておいでよ」
って、ボクの背を押した。
走り出した。
わーって走って走って、帰ろうとしてる晴ちゃんを見つけたから、思いっきり手を振る。
「晴ちゃーん!!」
ボクのでっかい声に、振り向いて真っ赤になってて、それでも笑って手を振り返してくれるキミが、ボクは大好きです。