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キミのことが知りたいな

第1章 1


 一週間がんばった。うん、ボクなりにがんばった。がんばった。
 よくわかんなかった。

 あっ、え、いや、マジメに調べたんだよ!?
 最初のほうはボクの力だけでって思ってたけど、1日やってみて無理だなって思って、友達とか先輩たちに頼りに行ったんだ。
 まずは部活からかなって思ったから、美術部の1年に聞いてみたかったんだけど、友達に美術部いなかったから、もう友達の友達の友達、くらいでたどってって、ようやく話を聞けた。
 晴ちゃんはなんか、ちゃんとマジメな絵を描いてる系の部員らしい。美術部は割とマンガとかイラストとか描いてる人が多いらしいんだけど、晴ちゃんは写生会とかで描くようなやつをいつも描いてるんだって。
 こっそり晴ちゃんの絵を見せてもらった。
 ……なんか風景画?ものを描いてることはわかった。
 顧問の先生に褒められてたらしい。うん、ボクに絵心はないな。

 次に、友達のほうを当たってみた。
 こっちはもっと知り合いがいなかったから、友達に聞いてみてもぜんぜんつながらなくて、先輩の彼女のほうから話を通してもらった。
 もはや学年にこんな子いたっけレベルの知らなさだったんだけど、一応話はできた。

 ビックリだよ。好きなものとか趣味とかそういうの、ぜんぜんかぶってなかった。
 ていうか晴ちゃん本が好きなんだね。ボクはぜんぜん読みません。最近読んだのはバトルマンガです。ごめんなさい。なんで謝ってるんだろ。
 これだけ何にもかぶってなかったら、そりゃ友達もかぶらないしつながりもないわって、なんか納得した。

つまり、ボクと晴ちゃんにつながりがなさすぎて、わかるなってなるのが何もなくて、つまりわかんなかったんだよね。

 こーゆーのあれかな。「住む世界が違う」とかいうやつ。
 実際ホント見てるもの全然違うっぽいし、このままでいたら違うまんまで、自然に何か一緒になることなんてまるでなさそう。
 今までみたいな「なんか好き」じゃ、話が合わなすぎてうまくいかないんじゃないかなって思うんだ。ていうか、思ったんだ。



 って、部活でサエさんに話したら、一言だけ帰ってきた。

「うん。じゃあ、剣太郎は合わないからっておしまいにするのかい?」



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