第8章 姫巫女と最初の一週間
「初めまして、ロン・ウィーズリーです」
「ウィーズリー家の子か。お前さんの双子の兄貴たちを森から追っ払うのに、俺は人生の半分を費やしているようなもんだ」
それは少々言いすぎな気もするが、ハグリッドはいたって真面目に語った。
ハグリッドがお茶請けとしてロックケーキを出してくれたが、歯が折れるほどに固く、とても食べられるようなものではない。
それでも、美味しいふりをして、三人は初めての授業についてハグリッドに話した。
ファングはシオンの隣に伏せ、身体を撫でられて気持ちがいいのか、目をトロンとさせている。
ハリーがフィルチに目をつけられていると話すと、彼は「あの老いぼれ」と言って罵った。
どうやら、ハグリッドもあまり快く思ってないらしい。
特に、フィルチの飼い猫のミセス・ノリスは、主人に言いつけられているらしく、ハグリッドが学校へ行く度に後をつけ回してくるのだそうだ。
次に、先ほどのスネイプの授業の話へと移る。
スネイプから憎まれているようだと話すハリーに、ハグリッドは「バカな」と否定するが、どこか誤魔化しているように感じた。
「チャーリー兄貴はどうしてる? 俺は奴(やっこ)さんが気に入っとった――動物にかけては凄かったからな」
ハグリッドがロンに話を振るが、わざと話題を変えたような不自然さは否めない。
ハリーも違和感を覚えているようで、どこか腑に落ちない表情をしていた。
「ハリー、大丈夫?」
「うん……」
そう言いながら、ハリーはテーブルに置かれていた紙切れを手に取った。
どうやらそれは、『日刊予言者新聞』の切り抜きのようだ。