第6章 姫巫女と入学式
「あ……すごい、治った……どうやったの?」
「別に大したことは……『祓詞(はらへことば)』で穢れを払っただけだよ」
シオンは紫扇を仕舞いながら答える。
「さすがは《リュウグウのヒメミコ》だね」
そう言われて、シオンは初めて嬉しくなった。
今まで、『龍宮の姫巫女』という肩書きは、分不相応でしかないと思っていたのだ。
けれど、気持ちを入れ替えたからか、とても誇らしい。
ハリーが教師たちの席を見る。
彼が見ていたのは、あの黒服の男性教師――スネイプだった。
やがてデザートも消え、この入学式を含む歓迎会を締めるのか、ダンブルドアが立ち上がる。
「エヘン――全員、よく食べ、よく飲んだことじゃろうから、また二言三言。新学期を迎えるにあたり、いくつかお知らせがある」
まず、構内にある森に入らないこと。
この禁止令は上級生にも、何人かの生徒たちには特に注意しているらしい。
ダンブルドアの目が双子のウィーズリー兄弟に向いたのは、気のせいではないだろう。
次に、ホグワーツの管理人であるアーガス・フィルチから、授業の合間に廊下で魔法を使わないようにという注意があったこと。
さらに、今学期の二週目に、魔法競技『クディッチ』の予選があるため、寮のチームに参加したい生徒は、クディッチの審判も務めるロランダ・フーチに連絡をするように。
「最後に、とても痛い死に方をしたくない生徒は、今年いっぱい、四階の右側の廊下に入らないように」
ダンブルドアの言うことは理解できたが、シオンには最後の注意事項だけよく分からなかった。
あのような言い方では、生徒を納得させることなどできないだろう。
腑に落ちないでいると、監督生であるパーシー・ウィーズリーが首を捻っていた。