第6章 姫巫女と入学式
一人、また一人と寮が決まり……ついにシオンの名が呼ばれた。
「リュウグウ、シオン!」
「は、はい!」
上ずった声で返事をして、ぎこちない足取りで椅子に座る。
たくさんの上級生や新入生が見つめる中、シオンは帽子を被った。
闇は思ったよりも深く、まるで心の中を映しているようだ。
あぁ…と低い声で息を吐いたのは、自分ではなかった。
『これはこれは、素晴らしい才能を持っているな』
「く、組分け帽子さん……ですか……?」
『そうだ。さて、どこに入れたものか……頭は悪くない、人のために尽くす優しさもある……レイブンクロー、ハッフルパフ……どちらでもよいが……しかし……』
「あの……わたし……」
シオンの言葉を、『皆まで言わずとも分かっている』と帽子は遮る。
けれど、言わずにはいられなかった。
「わたし、自分のこと、よく分かってるつもりです。弱虫だし、意気地もないし……彼と出会ったこと、後悔してないって言えば……嘘になる……」
今日、あの場所でハリー・ポッターと出会った。
あの出会いがなければ、自分は今この瞬間、何を思っていたのだろう。
ただ不安に震えて、ただ流されるままに、告げられた寮で学校生活を送っていたのだろうか。
父の言いつけを守って、危険なことに近づくことなく。
それでも、自分は出会ってしまったのだ。
己の偉大さと価値を知らぬ、小さな英雄に。
「父上の言いつけに背くことだって怖い……でも、初めてできた、大切な友達だから……わたしにできることがあるなら、何だってしたい……助けたいし、守りたい……」
そう、わたしが入りたい寮は――……。
「もしも叶うなら……わたしは、大切な人を守れるような、そんな力を身につけられる寮に入りたい!」
もし、父の言う通り、ハリーが災いを呼んだとしても、それ以上の力で跳ね返してやろう。
そんな力を身につける。
大切なもの全部を守れるような、そんな力が欲しい。