• テキストサイズ

ハリー・ポッターと龍宮の姫巫女

第6章 姫巫女と入学式


「あぁ……『普通の生徒が入る寮』とかないのかな……」

「あ、いいな、それ。ハリー、わたしも入れてくれる?」

「シオンなら大歓迎だよ」

 そんな話をしていると緊張が紛れ、二人は小さく笑い合った。

 やがて、ヒキガエルに逃げられていた顔の丸い少年――「ロングボトム、ネビル」が呼ばれた。
 途中で転んでしまった彼の寮の決定には時間が掛かり、ようやく『グリフィンドール!』と帽子が叫ぶ。

 汽車で因縁をつけてきたクラッブ、ゴイル、そしてマルフォイは揃ってスリザリンへ。
 彼らにピッタリだと思ったのは、自分だけではないだろう。
 あの寮へは絶対に入りたくないと思っているのも。

 残っている生徒も、数を半分ほどまで減らしていた。
 そして、ついに――……。

「ポッター、ハリー!」

 ハリーの名前が呼ばれ、彼が前へ進み出る。
 すると一瞬、大広間は水を打ったように静かになり、次にはザワザワとさざめいた。

「ポッターって、そう言った?」

「あのハリー・ポッターなの?」

 そんな興奮した声が耳に届く。
 ハリーが帽子を被っていた時間は、他の誰よりも長かった。
 一分……二分……それ以上の長い時間を掛けて、ようやく組分け帽子が叫ぶ。

『グリフィンドール!』

 帽子を脱いだハリーは、緊張から解放されたからか、フラフラとグリフィンドールのテーブルへと向かった。

 これまで以上の歓声と割れるような拍手に迎えられたハリーが、監督生であるパーシー・ウィーズリーと握手を交わす。

 フレッドとジョージは嬉しそうに、「ポッターを取った!」とガッツポーズをしていた。

 彼の有名な『ハリー・ポッター』を迎えられて、嬉しくない寮生など一人もいないだろう。
 誰もが憧れる『生き残った少年』――栄誉を招き、災いを呼ぶ……。

 ギュッとローブを握りしめると、コツンッと何かに指が触れた。
 それは、初代『龍宮の姫巫女』が使っていたという、『サカキの杖』だ。
 シオンはグッと唇を噛みしめる。
/ 362ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp