第6章 姫巫女と入学式
マクゴナガルは上座のテーブルまで新入生を引率し、上級生たちに身体を向けさせ、教師たちには背を向ける格好で一列に並ばせた。
自分たちを見つめるたくさんの目に、シオンの身体が再び緊張に強張った。
その中に、銀色の霧のようにゴーストが光っているのが見える。
「シオン、上見て、上」
「え……上?」
ハリーに促されて天井を見上げると、シオンは大きな瞳が零れそうなほどに目を見開いた。
そこには天井ではなく、美しい星々を瞬かせる雄大な夜空が広がっている。
否――これは魔法だろうか。
「本当の空に見えるように魔法が掛けられているのよ。『ホグワーツの歴史』に書いてあったわ」
そう話しているハーマイオニーの言葉が聞こえた。
「魔法……これが……」
そこに天井があるなんて信じられない。
この場が室内であることの方が不自然で、今にも夜風が吹き抜けそうだ。
天井の夜空に見惚れていると、マクゴナガルが新入生の前に、四本足の背もたれのない小さな椅子を静かに置いた。
視線を戻せば、椅子の上に魔法使いが被るようなとんがり帽子が乗せられる。
帽子はツギハギだらけのボロボロで、年季の入った品物のように見えた。
新入生たちが見つめる中、帽子がビクビクと動き、ツバの縁(へり)の破れ目が口のように開いて、帽子が歌い出す。