第21章 姫巫女と一年の終わり
「何にも揺るがない強靭な意志を持って困難に立ち向かい、数多の者たちとの絆を以って、みごと友たちを守って見せた。その功績を称え、グリフィンドールに六〇点を与える」
ワァッと歓声が上がり、シオンは身体を震わせた。
もちろん、それは恐怖などではなく、感動だ。自分という存在を認めてもらえた、そのことによる喜び。
「最後に、ハリー・ポッター。並外れた精神力と勇気を以って己の運命に挑み、みごと勝利を収めた。それを称え、グリフィンドールに六〇点を与える」
それは、シオンのときよりも大きな歓声――否、大きな騒音だった。
計算が間違っていなければ、四人の点数を加算すると、スリザリンに並ぶ。
あれ? 一位が同点だったなら、寮杯はどうなるのだろうか?
ダンブルドアが手を上げると、少しずつ大広間に静寂が戻る。
彼の話はまだ終わっていなかったようだ。
「勇気にも色々とある。敵に立ち向かっていくのにも大きな勇気がいるが、味方の友人に立ち向かっていくにも同じくらいの勇気が必要じゃ」
そこで、とダンブルドアがグリフィンドールのある二人へ視線を向けた。
「ネビル・ロングボトムとヒマワリ・タツガミ。両名に五点ずつ与えたい」
瞬間――まるで爆発でも起こったかのように大広間が沸いた。
「やったぁ、ハリー!」
シェリルが立ち上がり、正面にいたハリーとハイタッチを交わす。
「え、ま、まさか……本当に僕が……?」
「そうよ、ネビル! あなたがポイントを獲得したのよ!」
呆然とするネビルの肩をマリアが力強く叩くと、彼はグッと息を詰まらせた。
ネビルは今まで、グリフィンドールのために加点を得たことがなかったのだ。
感動で涙ぐむネビルを、マリアは優しく抱きしめた。