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ハリー・ポッターと龍宮の姫巫女

第19章 姫巫女と隠し扉の罠


 うだるような熱気の中で試験は行われた。
 教室の中は特に暑く、このまま溶けてしまうのではないかと思ったほどだ。

 筆記試験では、カンニング防止の魔法が掛けられて羽根ペンが全員に配られた。

 当然、実技の試験もあった。

 フリットウィックの『妖精の呪文』では、パイナップルを机の端から端までタップダンスさせる試験。

 マクゴナガルの『変身術』では、ねずみを“嗅ぎたばこ”入れに変える試験。美しい箱は点数が高く、ひげが生えた箱は減点される。

『魔法薬学』を担当するスネイプの試験では、忘れ薬の作り方の試験だ。生徒の後ろを回ってマジマジと監視され、緊張のし過ぎで薬の作り方がすぐに出てこなかった。


 あの森の一件以来、ハリーは傷が痛むようで、いつも傷の辺りを押さえては眉根を寄せている。

 その上、夢見もよくないらしく、前に教えた悪夢を見た後に詠む悪夢祓いのまじないもあまり効果がないらしい。
 それだけ、闇の力がハリーに近づいているのだろう。
 時折、ハリーの傷にまとわりつく邪気を祓ってはいるが、気休めにしかならないようだ。

 最後の『魔法史』の試験が終わると、生徒たち全員が歓声を上げた。試験結果の発表まで一週間あるが、それまでは自由の時間が約束されているのだ。

 シオンも、魔法史の試験は心配しかないが、考えないようにした。
 泣いても笑っても、すでに遅いのだ。
 できることはしたと、今はこの解放感に身を浸そう。

「思っていたよりずーっと優しかったわ。一六三七年の狼人間の行動綱領とか、熱血漢エルフリックの反乱なんか勉強する必要はなかったんだわ」

 校庭に繰り出した生徒たちに混ざって、シオンたちも校庭に繰り出し、木陰で日向ぼっこをしていた。
 ハーマイオニーはあれやらこれやらと試験の話をしながら、答え合わせをやろうとしている。

「やめましょ、ハーマイオニー。今は試験のことは考えたくないわ」

 うんざりとした表情で止めるマリアに、ハーマイオニーは唇を尖らせながらも「そう?」と引っ込む。
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