第18章 姫巫女と禁じられた森
彼によれば、最近この森で、ユニコーンを傷つける者がいるらしい。
今週ですでに二回目とのことだ。
数日前には、ついに死骸まで出てしまった。
シオンたちが今夜やるのは、そんなユニコーンを見つけて助け、助からないようならば、せめて苦しまないように死なせてやってほしいとのことだった。
「ユニコーンを襲った奴が、先に僕たちを見つけたらどうするんだ?」
マルフォイが恐怖を隠しきれない様子で尋ねると、ハグリッドはフンと鼻を鳴らす。
「俺やファングと一緒におれば、この森に住む者は誰もお前たちを傷つけはせん。道を外れるなよ」
ハグリッドの号令に、シオンたちは二組に分かれることとなった。
辺りにはすでにユニコーンの血が光を帯びて地面に軌跡を描いている。
今もこの森に、傷に苦しむユニコーンがいるのだと、改めて実感した。
「ハグリッド、僕はファングと行く」
ファングの長い牙を見てマルフォイが言う。
「よかろう。断っとくが、そいつは臆病じゃよ」
バウッと小さくファングが吠えるが、ハグリッドの言葉を聞いた後では、あまり頼りがいのあるようには聞こえなかった。
「だったら、リュウグウ。お前も来い」
「え、えぇ⁉」
突然の指名に、シオンは飛び上がってしまった。
まさか、ここで自分の名前が呼ばれるとは思わなかったのだ。
「お前、色んなモンスターを従えてるだろ。何かあったら、そいつらを出して僕を守れ。いいな」
なぜ、お前を守らなければならないのか。
分かった。何か起きたのならば守ってやろう。
しかし、優先順位は一番最後だが。
シオンの中で、最優先がファング、ユニコーン、最後がマルフォイに決まった。
「そんじゃ、ハリーとハーマイオニーは俺と一緒に行こう。ドラコとシオン、ネビルはファングと一緒の道だ。もし、ユニコーンを見つけたら、緑の光を打ち上げる。いいか?」
ハグリッドに習い、しばらく杖から光を打ち出す練習をした。
ユニコーンを見つけたら緑、困ったことが起きたら赤だ。
赤い光を打ち出したら、ハグリッドが助けに来てくれるらしい。