第17章 姫巫女とドラゴン
「ねぇ、シオン。どうにかできない? 前に、ネビルがマルフォイにかけられた『足縛りの呪い』を解いただろ? そのときみたいに」
「うん。やってみるね」
ハリーの期待を込めた緑色の瞳に頷き、シオンは差し出されたロンの手に息を吹きつけ、呪文を唱えた。
「……《神の御息(みいき)は我が息、我が息は神の御息(みいき)なり。御息(みいき)を以て吹けば毒は在(あ)らじ、残らじ。阿那(あな)清々(すがすが)し、阿那(あな)清々(すがすが)し》……」
呪文を一つ繰り返すたびに、ロンの手の腫れが引いていく。同時に、緑色に変色していた部分も元の色を取り戻した。
「どう、ロン?」
「うん、もう痛くないよ。羽ペンも持てそうだ。ありがとう、シオン」
タイミングを見計らったように、談話室の窓を叩く音がする。
「ヘドウィグだ!」
ハリーが急いで雪のように真っ白なフクロウを迎え入れた。
どうやら、ロンの兄であるチャーリー・ウィーズリーの手紙を持って来てくれたようだ。
手紙を開封し、ハリーが声を潜めて読み上げた。