第3章 姫巫女とサカキの杖
『あまり己を卑下するな。そなたが杖を手にしたことが何よりの証。そなたは初代に匹敵する、「龍宮の姫巫女」よ』
シオンは杖をギュッと握り締める。
すると、杖が再びジワリと温かくなった。
まるで、自分を慰めるように。
「サカキの杖は、東洋魔法とも相性が良い。それに、持ち主に忠実で、自分が選んだ主のために尽くす杖。きっと、あなたを守ってくれる」
杖は持ち主を選ぶ。
そして、この杖はシオンを選んだ。
龍宮の祭神である『王龍』が、シオンの呼びかけに応えてくれたように。
『シオンよ、己を恥じるな。恥じる前に己を変えよ。「龍宮の姫巫女」に恥じない人間になれ。そなたを選んだ、その杖に相応しい人間になれ。それが、そなたの最初の課題よ』
言いたいことを言い終えたからか、月映は姿を消す。
「課題ですか。大丈夫。あなたなら、すぐに乗り越えられる。そうでなければ、その杖はあなたを選ばない」
己を恥じるな。恥じる前に、己を変えよ。
少女は杖を見つめる。
月映の言葉は、シオンの耳にいつまでも響いていた。