〖 ハイキュー!!〗~ 夏の終わりに ~合同コラボ作品集
第6章 階段下の指定席 ( 黒尾鉄朗 )
「夏の合宿まででもいいんだけど…」
『でも…私…バレーのルールわからないし』
「ルールなんて何とでもなる」
『それに…バレー部の人も…よく知らないし…』
「俺だけ知ってれば大丈夫」
そんな訳あるはずないのに…
先輩…強引すぎる…
「しかも俺を一番近くで応援できる特典付き」
先輩の黒い瞳が私を覗き込めば
一瞬ドキリとする…
確かにその特典は捨てがたい…
でも…でも…
『…やっぱ…出来ないです…』
小さくそう言えば逃げるように階段を下りる
ごめんなさい…
ホントはクロ先輩の一番近くに行きたいのに
勇気が出せなくてごめんなさい…
何となくクロ先輩と顔を合わせるのが
気まずくなってしまってお気に入りの場所にも
行く事が出来ないまま1週間が経っていた…
別にいつも待ち合わせしていた訳じゃない
でも…このままも嫌だから…
勇気を出して向かう…
階段を上れば人の気配を感じて
自然と駆け出してしまう…
『…先輩…』
声を掛ければそこに居たのは…
「残念…ハズレ」
いつかのキレイなお姉様方だった…
「クロと待ち合わせ?」
クスッと笑う笑顔に足が震える
『…違います…』
小さく呟いて俯けば
「そうよね…だいたい…あなたみたいな
フツーの子…クロが本気で相手する訳ないもの」
勝ち誇ったようなセリフ…
そんなの言われなくても
自分が一番わかってる…