〖 ハイキュー!!〗~ 夏の終わりに ~合同コラボ作品集
第4章 【シャッターチャンスは恋の始まり】 ( 澤村大地 )
次の日―――。
おっかなびっくり 体育館を覗く。
昨日のこともあるし 慣れないコンタクトだし なんとなく 気まずいとゆーか…。
そんな私に お構いなしに
「あ~ 鈴原さんだ。昨日は大丈夫だった? …って アレ、なんか雰囲気違うね…」
菅原くんが声をかけてくる。
ありがたいような ちょっと困るような…。
「大地~、鈴原さん 来たよ~」
──大地…
ほら、まただよ。
なんか その名前聞いただけで ほら、なんか 胸のあたりが騒がしくなってくる。
「鈴原さん。 昨日は大丈夫だったか? …アレ?」
汗を拭いながら 近づいてきた澤村くんが私をまじまじと見て
「おぉ、なんか印象が違うと思ったら メガネじゃないのか!」
まるで クイズに正解したみたいに 嬉しそうな顔をしたあと
「悪かったな…。 メガネ。」
そう言って 頭を下げた。
───律儀な人。
澤村くんのせいじゃないのに…。
気にかけてもらえたことが 単純に嬉しかった。
「でも… 雰囲気変わるもんだな。 綺麗な目してるな、鈴原さん。」
「えっ…」
突然の澤村くんの言葉に なぜだか 目の奥が熱くなって 胸の奥が苦しくなる。
なんだろ? この気持ち?
「だから 写真も綺麗なんだな。」
そう言って 私の頭を軽くポンっと叩いて
「気をつけて ファインダー 覗けよ。」
白い歯を覗かせて 笑った顔に 私は 黙って 頷くことしかできなかった。
───ファインダー越しに 澤村くんの背中を追う。
この背中について行けば 大丈夫…
そう思わせてくれる背中に 夢中でシャッターを切った。
澤村くんの夢のために…。
私ができること。
初めてだった。
自分の自己満足のためじゃなくて ファインダーを覗くのは…。