【防衛部】BITTER&SWEET CHOCOLAT
第5章 籠という名のこの腕に星を閉じ込めて
雪菜が校内を歩いていると、今度は別府兄弟が歩いてくるのが目に入った。
周囲の女の子に注目され不機嫌そうな日彦に、愛想よく手を振る月彦。
「そっくりなのに、正反対のところもあるよね」
雪菜はクスリと笑うと、先ほど同様平然と二人に近づいていった。
笑顔で広告を渡すと、月彦が受け取りそのまますれ違う。
振り返ってみるが、気にする様子のない二人。
「やっぱり、気付かないんだ」
雪菜はうれしそうに笑いながら二人に背を向け歩き出す。
「なーにが気付かない、だって?」
「え?!」
足を止め振り返ると、不敵に笑う日彦の姿。
「僕たちがあなたに気付かないと思ってるんですか?」
背後から聞こえる声に振り向くと、満面の笑みの月彦。
「嘘…なんで…」
前後に立ちはだかる二人に、困惑した表情を見せる雪菜。
「なんでって、分かるに決まってるだろ」
「だって、鬼怒川先輩達は気付かなかったのに…」
「一緒にされては困ります」
そう言うと二人は雪菜に一歩近づく。
距離を詰められ後ずさる雪菜。
一歩、また一歩と近づく二人に、壁際に追い詰められてしまった。
その姿に、辺りにいた生徒達が騒ぎ始める。