第2章 1
諦めたくない
負けたくない
みんながいるから
「はあ?」
「なに言ってんの?頭おかしいんじゃないの?」
「そっちがその気ならまじで死んで?」
1人の女の子が折り畳み式のナイフをポケットからだした
「刃物出すとか危ないよ。出来もしないくせに」
負けたくなくて言い返すと
「は?まじで死ねよブス」
ナイフを振りかざしてきた
ぎゅっと目をつぶったけど
痛みは一向に来ない。
恐る恐る目を開けると
目の前には
ナイフを持った子の手を掴んでる健人くん
「こんなもの振りかざしてどうするつもり?」
「け、健人」
「勝手に呼び捨てにしないでくれない?」
「もう少しで警備員くるから。事情はそっちではなしてよ」
いつもより低い声の健人くん
そんな健人くんの背中を眺めていると
警備員さんが来て女の子たちを連れていく。
ホッとして足の力が抜けて座り込んだ。
健人くんはあたしに振り向いて
「バカじゃないの?あのまま言われてるだけならほっとくつもりだったのに。ナイフ出されてなんで逃げないんだよ!逃げるどころか挑発して。本当に殺されるかたも知れなかったんだぞ!」
健人くんに怒鳴られて
こんな健人くん見たことなかった
いつもきらきらしてて
優しい健人くんしか知らなかったから
「ふぇっ‥‥‥‥ごめんなさい‥‥」
ポロポロと涙が溢れ出す
「無事で良かった」
と抱きしめられた
「健人くん、あたし‥‥‥‥負けたくなくて‥‥‥ガールの子も、じんじんもいなくて‥ふぇっ‥怖かった‥‥」
健人くんの優しさに触れて
本音が溢れ出す
健人くんは普段は鬱陶しいかったりするけど
きらきらしていて、いつも優しくてあたしの憧れだった。
そばにいてくれて助けてもらったことなんて数知れない
迷惑かけたくなかったのに