第8章 最終任務
カラン…コトン…
咄嗟にカカシ先生が切ったであろう
私の面が真っ二つに割れてから床に落ちた
開けられなかった目をゆっくり開ける
「ひっ……
ぇ………」
見たものを信じられず
驚き後ろを振り返る
「楓…」
悲しい顔をする先生が私を見ていた
「かっ…カカシせんせっ…」
手に持った苦無はしっかりと木材に刺さっていた
「変わり身の…術……?」
「あぁ。」
久しぶりに聞く先生の声はひどく落ち着いていて、いつもよりも低かった。
「私……失敗したの…?」
「あぁ、そうだよ。」
「失敗…した…?」
「うん。」
私は、任務に、失敗した…?
「…よかった……、失敗した…失敗したの…」
失敗したのに、私は安心してしまっていた
「カカシ先生っ…ごめんなさい、
ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさいっ……私…」
手元の苦無と苦無が刺さった木材に目線を戻すと涙がポロポロ出てきた
もし、カカシ先生が、変わり身の術をできなかったらと考えると自分がしてしまったことがどれだけ大変なことだったか実感する
「…ごめ…なさ…
言いかけたその瞬間に懐かしい香りがふわりとする
「カ…カシ…先生…?」
「バカなの…?楓…」
先生が私を抱きしめてくれている
「せんせっ…だめ…私は、先生の、写輪眼を…」
「ちょっと黙って。」
いままでにないくらい強く抱きしめられ、先ほどの衝撃で右腕に刺さったガラスが食い込む
「先生…?」
「ごめん…もう本当に楓、今回は先生、怒ってるよ」
外からパタパタと足音がすると、医療班の方々がドアの外で声をかけきた
「凄い物音でしたが、大丈夫ですか!?入っていいですか?」
抱きしめていた力を少し緩めるとカカシ先生が答えてくれた
「こちらは大丈夫です、今は少し待っていただけますか?」
はーいと声がするとまた私とカカシ先生は2人っきりになった