第2章 迷い猫
カカシside
どれくらいこうしていただろうか…
泣き崩れる彼女をとりあえず近くのベンチに座らせ、俺はその小さな背中をさすっていた。
立花楓……
幼い頃不慮の事故で両親を亡くした彼女は昔から人一倍優しくて明るい子だった。
悲しい出来事はあったものの、木の葉の皆が彼女に幸せになってほしいと願っていたし、その明るい笑顔から皆幸せをいつも分けてもらっていた。
俺が実際に彼女と出会ったのは、第七班での2度目の任務の時だった。
イルカ先生に連れてこられた楓は肩を狭くし、何かに怯えたような…今にも崩れそうな雰囲気を醸し出していた。
それでも
「君が楓ちゃんね〜、第七班にようこそ!」
と声をかけると、にっこりと可愛い作り笑顔をこちらに向けた。
(今はその笑顔を作るだけでも辛いだろうに…)
健気な少女の涙ぐましい姿にチクリと心が痛んだ。
彼女は元々第九班のメンバーだった。
だが、不幸にも最初の任務で彼女以外のメンバーが亡くなった。
巻物を届ける、それだけのはずだった。
巻物の内容も大した事のない内容で、狙う者もいない、いわばただのお使いのようなDランク任務であった。
しかし、本当は全くのデタラメで、第九班は敵の襲来にあった。
依頼料が安くなる関係でランクの高い任務をランクの低い任務に見せることはよくある事だ。
どうして彼女だけが生き残ったのか、俺は知らないが、
とりあえず彼女をどこの班に入れるか検討したのちスリーマンセルではなくなるが第七班に入ることが決まった。
彼女は仲間を失う辛さを知ってるからなのか、俺の最初の難題も難なくクリアした。
「忍にとって、掟は絶対です。
守らなきゃいけない。
でも、仲間を大事に…っ守れなかったら……
そんな掟意味ありませんっ…。」
潤んだ瞳はまっすぐ俺の目を見た。
「ごうかーっく!」
少し驚いてから、良かった〜!とへにゃっと笑った彼女の顔がいまだに自分の脳裏に焼き付いている。