第2章 迷い猫
「ひっく…っ。」
俺が昔のことを思い出している間に、だいぶ楓も落ち着いてきていたようだ。
「楓…、大丈夫か?」
袖でゴシゴシと顔を拭くとパッと顔をあげこちらを見た
「泣いたフリだよ、先生、大丈夫。ありがとうございました。」
いや、楓…。そんなに無理矢理な嘘はないだろ…
「あぁ、先生…楓の背中さすってたらお腹空いちゃったなぁ…でも作るのは面倒だし、どうしようかな…まいった。
誰かお家で作ってくれらと嬉しいんだけどね〜…」
チラッと楓を見る。
今日は、楓を、1人にしたくない。
もしこの感情が教師としての一線を超えてしまっていたとしても…
楓…
今にも壊れそうでどこかに行ってしまいそうで
俺は…
(楓を守りたい…)