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届かぬ想いと隣の君【NARUTO】

第7章 桃色の花


楓side




何日だったのだろう、
いつの間にか涙も出なくなっていた。
目の前には10羽弱の死体が横に並んでいる。

体育座りで部屋の真ん中に私は座っていた。

最初に殺された小鳥にはすでに蝿が集り、綿のような羽がポロポロと取れては部屋の床に落ちていた。


私はなんのためにここにいるのだろう?


ここに居続ければ居続けるほど、
消える必要のない命が、消えてしまう。

命を救うために、
もう失わないように、
根に入ったはずなのに

私が根に入ったことで失う命ができた。

窓際にはサイが送ってくれていた小鳥たちが沢山並んでいた。

(そっか、そういえば最近、ずっと絵手紙見てなかった…)

白い巻物を開くと順番に鳥が紙に吸い込まれた。

(ナルトくん、サクラちゃん、テンゾウお兄ちゃん…)

3人が楽しそうにかかれている

(私もここにいたら、楽しいだろうなぁ。)

その次の日も、またその次の日も、
可愛い絵柄で3人が描かれていた。

「あっ、巻物が足りないや…」

窓際にあと一匹だけ、入りきれなかった鳥獣戯画の鳥がとまっていた

(新しい巻物はっ……っと。)

新しいものを広げると、最後の一羽が巻物に吸い込まれた。




「………4人…」




絵を見た瞬間、ドクッと心臓が跳ねた。

ナルトくんと、サクラちゃん、テンゾウお兄ちゃんと、サイが、そこで笑っていた。

ずっと3人しか描かれていなかった絵手紙を、
私は勝手に自分がそこにいるような目線で見ていた。

残りの1人は自分な気がしていた。

(そっか、サイ、みんなと仲良くできているんだね…)

喜ぶべきことなのに、いよいよ自分の存在がいらないような気がしてきて、心臓が嫌な感じに鳴り続ける

目の前にある死体から、逃げたい自分がいた。

私はそこに帰りたかった。

サイの幸せを笑えない自分が醜くて、
何もかも本当は元からなかったような気がする。

なにも感じちゃ、だめだ。

無になって、私は私の成すべきことをするんだ。

私は、根のもの。誰よりも強く、みんなを支えるべきなんだ。そのためならなんだって…。

それが今の自分の存在意義なのだから…。

そう言い聞かせては、また今日も印を結んだ。
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