第7章 桃色の花
「おはよー、楓〜」
眠そうな声が後ろから聞こえて来る
「ふふっ、おはよう。ヒマリちゃん」
案の定眠そうな顔でヒマリちゃんが歩いてきていた
「楓は今日も同じ修行?私今日は外で修行らしくって…」
「そっか、私は今日も草花再生の修行かなぁ…」
(もうだいぶ精度も上がったしやる必要はない気がしてきているけど…)
「だよね〜…あんまり無理しないでね、またね!」
外へ歩いていくヒマリちゃんに対して手を振っているといつも枯れ草を持って来る方が外から入ってきた。
「あれ、楓、ここにいたのか。
今日からお前には自室で修行をしてもらう。」
「えっ、どうして…」
「毎日同じ修行じゃ成長しないだろう、一緒に部屋まで戻ろう」
やっと修行内容が変わると思ったら嬉しくてたまらなかった
部屋に入るとひんやりとした空気が頬を撫でた。
もともと薄暗く窓も小さく光もほとんど入らない部屋である上、壁面や床は石でできているので、自分の部屋はいつも冷えていた。
「それで…お前の今日再生するものなんだが……これだ。」
男の人が腰のポケットから手を出すと、小さな小鳥を床に落とした。
「えっ…」
床に落ちた小鳥は足を伸ばしたまま、動かない。
とっさに拾おうとすると男は続けてこういった
「今朝殺してきた。まだ死んでからそんなにたっていない。
そいつを生き返らせろ。」
頭が真っ白になる。
このために、殺した?
私は命を蘇生なんてできないのに
「えっ…なにを言って…私は動物を生き返らせることなんか…」
「まぁそういうことだ。
植物を生き返らせることができるのなら、頑張りゃできるだろう。工夫してみろ。
そいつの命が無駄になるかならないかはお前次第だ。
まぁその死体も今日くらいの室温なら3日はもつか?腐ったら捨てておいてくれ、また新しいものを持って来る。」
私の言葉など関係ないというように遮ってはそれだけ言い残して男は去っていった。