第6章 暗部養成部門「根」
連れてこられたのは薄暗い建物だった。
ドアを開けた瞬間に頰にピリッと痛みを感じ、同時にクナイが真横の壁に刺さった。
「やめないか。サイ、彼女はこれから根に所属するかもしれない人だ。」
「ダンゾウ様…!すみません。敵と勘違いしてしまいました。」
言葉では謝っているがサイと呼ばれる男はこちらを見てにっこりと作り笑顔で笑っていた
「サイ…くん?突然訪れちゃってごめんなさい。立花楓って言います。」
「はじめまして、楓さん。」
同い年くらいに見える彼は真っ白な肌にサラサラの黒髪、なんとなくサスケ君に似ているような気がした
「サイ、楓に根のことを教えてやれ。」
ダンゾウ様はそう言いその場を離れた
「サイくん、あの、よろしくね。」
黙っている彼に話しかけた
「楓さん、でしたっけ?やめたほうがいいですよ。あなたなんかに根の仕事が務まるわけがない」
サイは先程の笑顔を保ったまま言い放った
「えっ…と…」
突然の失礼な言葉に思わず絶句してしまう
「君には大切な人がいますか?守りたい人はいますか?」
「はぁ…」
(なんなの?この人…)
「その人の事、考えてみて下さい」
大切な人、守りたい人……自然と大好きなカカシ先生の顔が脳裏に浮かんでくる
「……殺せますか?」
「ーーっ!?」
ずっと目を細くしていたサイが輝きのない瞳を見せ、反射的に私は距離をとった
「な、何を言ってるの?大切な人を……守りたい人を…殺せるわけ、ないでしょう?」
私の答えに対しわかりやすく大きなため息を吐いてからサイが言う
「だからあなたには無理だと言ったんです」
そういうサイの表情は先程の偽物の笑顔に戻っていた。