第2章 迷い猫
皆が駆けていったあと、私はどこを見れば良いかもわからず、ただ道を歩いていた。
(数週間も経ってるなら遠くにいっちゃってるかもしれないし……確かに、今回は難しいかもなぁ。)
「今日中に見つかればいいけど……」
ふと呟いた瞬間
ミャー…
え?下から猫の声!?もしかして……
(下水道の方に…?)
手で開けられそうなマンホールを見つけ、勇気を出して降りてみる
(なんとか入れた…!……うぅ、臭いし、暗いし…)
外とは違ってひんやりとした下水道は、じめじめして、どこからともなく水が滴る音が聞こえてきた。
(薄気味悪いなぁ…)
「…ミャーーー…」
(とにかく、声を頼りに探してみよう…!)
数時間経った頃…
「ミャッ…」
「うぅー!やっと捕まえたぁぁ〜!!!」
下水道の中は声が響いてしまって方向がわからず、かなり苦戦してしまった。
(でも、これで今日の任務は成功ね!早くカカシ先生達のところに…)
「あ、…あれ……?」
(大変…どっちからきたんだっけ…)
景色がずっと同じだったのもあり、一生懸命行ったり来たりしていた楓は知らぬ間に迷子になっていた。
(まぁ近くのマンホールから出れば…)
「…よいしょっ………??…よいしょ……え、なんで…??開かない…?」
ビクともしないマンホールをみて、嫌な汗が額に浮かぶ
(マンホールって、中から開けられないの…??)
考えれば当たり前なことだ、もし雨天時に中での水圧等でマンホールが外れてしまったら大変な事故になりかねない。
(うそ…)
状況を少しずつ判断していくにつれ、不安が大きくなっていく。
「ぐぅぅ〜〜…」
お腹の音が虚しく響く
(…どうしよう、どうしよう…!!!嫌だ!どうしよう……!!!!)
「誰か!誰か…!!!」
気がつけば涙がポロポロあふれていた。