第5章 第七班
カカシside
「…くっ……」
後、もう少し…
(…くそっ、…こんなところで…)
「こんなところで諦めてたまるかってばよ!!!」
ナルトは今、冷静さに欠けている
我愛羅は死んだ。
どうすれば…どうすれば勝てる
ここで…使えるのか…?
万華鏡写輪眼。
そう呼ばれるあの瞳が今、自分にある
暁の男が今、我愛羅を連れている
冷静でないナルトが横にいる
(俺がやらなければ…)
負ける?
いいや、そこにあるのは、そんなものではない。
死、もしくは死よりも……
一筋縄で行くとは思っていなかったが、仲間の死を目前にして自分の甘さに気づく。
今、やらなければ…
『前みたいに、一度だけでいいから……、頭、撫でて欲しい』
彼女の頬には、涙はなかったが…
きっとずっと前から、泣いていた。
楓には、俺しかいなかったんだ。
だから、守ろうとしていたのに、
随分と触れていない、柔らかい髪。
俺は自分を抑えて、彼女を守った。
(はずだったのに…な。)
気づけばあいつの隣にはテンゾウがいて、嫉妬して…
馬鹿……だよな…
なんでこんな時も、楓を考えてしまうのか…
「…くそっ!………」
「カカシ先生…!!!」
どうするんだってばよ!とナルトが声をかけてくる
(会いたい、もう一度。俺は今、やるしかない)
………楓…ごめんな…
「神威…!」