第4章 兄
テンゾウside
「おはよう、早いね。昨日はよく眠れたかい?」
「あ、テンゾウお兄ちゃん…。」
一目見た瞬間驚いた。
瞼は赤く腫れていて、目の下にはクマができている楓の姿がそこにあった
「楓、その顔……」
「修行、楽しみだなぁ、テンゾウお兄ちゃん、沢山教えてね…私、強くなりたいの」
俺に聞かせないように話を逸らす楓
ダメだよ、ちゃんと聞くから…
「何があったんだい」
「何も…ちょっとだけ不安になっただけで…」
知ってるんだよ、君の事をそんなにするのはあの人だろう
「カカシ先輩に何か言われたんだね…?」
あからさまに驚き目を逸らす
「なんで…、テンゾウお兄ちゃんにはなんでもわかるって事…?」
(君は修行をしててもいつだってカカシ先輩の話をしていたからね、誰だってわかるさ…)
「そんな状態で修行ができると思ってるのかい?」
「ごめんなさい…、でもちゃんと頑張ろうと前を向こうと思って、今日はここに来ました。私は強くなりたいです。サスケ君も連れ戻したい。私は1人で立てるようにならなきゃいけないんです。周りに迷惑、もうかけたくないんです。
……カカシ先生がいなくても立てるようになりたい、なるんです。
でないと…みんな幸せじゃなくなってしまうでしょう」
(違うだろ……、カカシ先生はそれを君に教えたのか?)
「君1人が強くなっても意味がないよ。今日から僕が君に教える技だってそうさ。
水と土を合わせるからこそもっと強くなる。
なんだって組み合わせて強くなっていくものなのに、君が独りよがりになっていったら、弱くなる一方だ。」
「でも…っ」
「僕がいるよ、楓には。自分は1人なんて思うんじゃない。」
思わず楓を撫でた
ビクッと震えた後、ポロポロと泣き始める
(カカシ先輩、なんてことしてくれたんですか)
そっと彼女を抱き寄せた。