第18章 千手一族とうちは一族
パタンと扉を閉じると先ほどまでの賑やかさが嘘のように部屋が静寂に包まれる
(明日の準備をしたらもう寝よう)
使ったコップを流しに置き部屋を片付けながらこれからのことを考える
(カカシ先生が火影様かぁ〜…すごく忙しくなるんだろうな、今よりももっと。)
ぐちゃぐちゃになったソファーカバーを掛け直すと扉がコンコンと叩かれた
「…はい……?え?カカシ先生?」
「いやーごめんごめん、忘れ物。ちょっと部屋入れてくれる?」
「えっ?何忘れたの?多分二人の荷物はなさそうだったけど…」
パタンと扉を閉じるとカカシ先生が抱きついてくる
「いや〜今日からしばらく会えない可能性もあるのに充電忘れてた。」
「へ?」
「えっ、楓はオレがあのまま帰っても辛くなかったの?オレは戻ってくるくらい辛かったのに?」
「……っ。」
黙って自分からも抱きつくと先生はまた優しく背中を撫でる
「私ね、先生が遠くにいっちゃいそうで、本当は寂しかったんだ。こうやって楽しい時間も無くなっちゃったらどうしようって」
「うん。そんなことだろうと思ってたよ。」
「寂しがり屋でごめんなさい」
「…今日充電ともう一つ忘れててさ。伝えそびれちゃったのよ。…楓、オレも大好きだよ。」
「ええっ」
「さっきオレに好きって言ってたでしょ?」
髪が鳥の巣になるのではないかという勢いで撫でられる
「…しかし遅くなったな…明日早いんだけど…家まで少しかかるからな…どうしたもんか」
カカシ先生はわかりやすく私の方を向いて悩んだふりをする
「いつも遅刻のカカシ先生なのに時間気にしてるの本当に面白い。ふふっ、どうぞここでよければ今晩も泊まって行ってください」
「お、ありがたいね。じゃあ、お言葉に甘えて。」