第17章 わたあめより甘い
罪悪感と共に楓の口周りをハンカチで拭く
「…カカシ先生…。その……わたあめ、甘かったね?」
楓の顔は火照っていて妙に色っぽい
その顔は昔オレの名前を大声で呼びながらついてきていたあの頃とは違って、
ただただ、魅力的な女性だった
もう、女の子、ではない。
「…本当にごめんな、嫌だったよな…それに…」
楓の持っていたわたあめは気付けば溶けて小さくなっていた
「わたあめも、嬉しそうに食べていたのに、本当にすまない。新しいの買うか?」
「んーん、大丈夫。十分食べられたよ」
そう言って楓は残りのわたあめをペロリと食べた
その仕草を見ているだけでもオレはずっとドキドキしていた
「…カカシ先生、…その…一緒に食べるわたあめは……美味しかった?」
「えっ、何を言って…」
楓を心配して屈んでいたオレの肩に楓は両手を乗せる
情けなく尻もちをつくオレの上に楓が乗っかる
「なっ…」
「…カカシ先生…これ、こ、言葉でいうの……恥ずかしすぎるね…」
近づく楓からはわたあめのものなのか、楓の使っている香水や石鹸なのか
甘い香りが漂い、また一気に自分の体温が上がる
「…楓……?」
「……あ、あのね、さっきの…き、気持ち良すぎて…、へたり込んじゃったの…その…だから…嫌じゃなくて……」
顔を真っ赤にしつつも、楓はオレの瞳を見つめる
「その…謝らなくていいから……さっきの続き…。」
ドクンと心臓が跳ね上がる
「カカシ先生……わたあめより、甘いのが欲しい」
聞いた瞬間返事をすることさえできなかった
体は勝手に動き、
今度はお互いが求めるようなキスをする
(もっと…もっと…近くに…)
「カカシ先生…っ!んん…好き…大好き…っ」
「はぁっ…もう…これ以上、煽るな…」
好きだ…本当に好きだ…
キスを繰り返す
ただそれだけなのに一度始めると止まることを知らず、お互いが何度も何度も求め合い
路地裏で唇を重ね続けた
(今は、キスだけ…キスだけで止めるんだ…)
大切な楓の体を守るように抱きしめ、
オレは心の中でそう何度も自分に言い聞かせていた