第17章 わたあめより甘い
「何から何まで…お家に帰ったらこの分のお金は払うから、受け取ってね?」
カランコロンと下駄の音を立てながら屋台が並ぶ道をオレたちは歩いていた
「いや、今日のはオレが欲しかったから買ったの。お金はいらないよ。それに楓の浴衣姿が見れてもう大満足だから」
「じゃ、じゃあ次は私が何かプレゼントする!先生、何が欲しい?」
「んー、正直お金には困ってないからなぁ」
「ひっ、さすが上忍…っ!」
「ははっ、大した趣味もないからね。
お金じゃ買えないもの、たくさん貰ってるから本当に十分なんだよ」
そう言って繋いでいた手を恋人繋ぎに変える
「…っ」
わかりやすく照れている楓を見るとどうしようもなく愛おしくなる。
「他の人に見られたらどうするの?」
「見られないために隣町まで来たんだから。大丈夫だよ。忍のお忍びデートだね。」
にこっと笑いかけると楓は頬を赤ながら手をぎゅっと握り返してきた
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「あ!みて!あそこ!」
「わたあめか。懐かしいな。食べる?」
「食べる!」
楓は自分の顔よりも大きい綿飴を買ってきて嬉しそうにかぶりついていた。
パクッ
反対側からオレも一口わたあめをもらうとまた楓は顔を赤くする
「ん…。甘すぎないか…?これ、おいしい?」
「おいしいよ!そっか、先生甘いもの苦手だったっけ…?それよりも、先生は綿飴食べた直後もすぐにマスクしちゃうんだね」
「あぁ、これか。癖になってるからなぁ」
「わたあめ、口の周りについてぺたぺたしない?」
そういう楓の口の周りには確かにわたあめがくっついていた
「…!ははっ、本当だ。どうやってそんなつけられるの。」
「えっ!これが普通だよ!わたあめはぺたぺたするけど美味しいから食べるものなんだよ!」
必死に反論をする楓が口を動かすたび髭のようについたわたあめが動いている。